愛というもの~哀しみの中で~
私はそのことを由実ちゃんに言うと、

「えぇ!そっかぁ、初めから恭吾がいるからね。なかなか二人きりになるタイミングとかないよね。なんなら夜も由彰と寝かせようか?」

私は慌てて首を横に振った。

「いいよ。ますます緊張する。そもそも私たちの関係ってそういうのじゃないもの。一緒に恭吾を育てていく家族?みたいなものだから。」

「…っえ?そうなの?あれ?キスしたって…あんなにべったりなのに何もないの?」

「うん…確かに毎日キスして、抱きしめられるし、私が抱きしめられてると眠れるって言ったから毎日抱きしめられて寝てるけど、本当にそれだけ。」

由実ちゃんはちょっと考え込んでいた。

「真さんって大人すぎて茉莉ちゃんに手が出せないのかな?明らかに大吾くんと同じ目で見てるのはわかるのに。」

「そんな…大吾と同じ目って、目元はそっくりだものね。」

「フハッ、たまに茉莉ちゃんってすごい天然っぷりを発揮するよね。でもそれでいいと思う。本当に恭吾うちで預かるからたまには二人で過ごす時間も作ってね。」

「天然って…。それに恭吾はお邪魔みたいに言わないで。あの子がいないと私もう生きていけないから。」

「わかってるけど、二人の時間も必要だと思う。お邪魔とかじゃないし、うちにお泊りしてももう泣かないだろうし、喜ぶと思う。逆に由彰もたまに恭吾の家にお泊りとか楽しいかも。」

「それは全然歓迎だけど…。昌美ちゃんも一緒にお泊りしたら真さん喜ぶわ。何気に溺愛してるもんね。昌美ちゃんを見る顔がふやけてるし。」

真さんの顔を思い出して思わず笑っていた。
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