愛というもの~哀しみの中で~
「フフフッ、確かに。昌も見たことない顔するけど真さんも何気にすごいよね。昌美は幸せ者ね。こんなにみんなから愛されて。」

そう言って二人で笑った。

旅行当日は家を出るときになって恭吾がお茶をこぼして急遽お着換えすることになったり、やっと出られるときに『トイレ』って言い出したりでバタバタだった…。

「恭吾にはやられたな。きっと恭吾も興奮と特別なお出かけっていう緊張があったんだろうな。」

やっと車に乗って出発した。
バタバタしていたからほっと一息つけて思ったよりも緊張はしていなかった。

「そうよね。ちょっと怒っちゃったからかわいそうだったかな。」

「ハハハハッ、まぁ、仕方がないよ。今頃忘れて由彰と遊んでるんじゃないかな?」

「だといいけど…。」

車に乗るまで私にしがみついていたから少し心配だった。
自分から由彰くんの車に乗るって言い出したけどやっぱり淋しいのもあるのかも。

「茉莉さんは心配症だからね。いいよ。何かあれば携帯に連絡があるよ。楽しもう。温泉行くのは久しぶりだ。社会人になって仕事ばかりだったから最近は恭吾や茉莉さんと出かけたりして人間らしく戻った気がするよ。」

「社会人になって旅行とか行かなかったの?」

「そうだな。付き合っていた人がいたときに1~2度行ったことはあるけどそんなに楽しくなかったからな。」

意外だった。真さんってどこに行っても楽しそうにしてるから。
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