愛というもの~哀しみの中で~
私は恭吾と真さんと3人で乗り込んだ。
恭吾は窓にへばりついて外を見ていた。外は丁度夕日が沈みかけておりオレンジ色だった。

「きれいだな。この時間に乗れてラッキーだったな。」

「ラッキー!」

恭吾も真さんの言葉をまねして喜んでいる。
観覧車はゆっくりと空に上がっていき頂上に差し掛かったころ、向かいに座っていた真さんが私の横に来た。
ゴンドラがぐらっと揺れて恭吾は声を上げて喜んでいた。

「茉莉さん、頂上のジンクスって知ってる?キスしたらずっと一緒にいられるんだって。きっと大吾も見てると思うからここで俺は約束する。茉莉さんとずっと一緒にいるよ。離れないし、どこにも行かない。大吾の分まで二人で幸せになろう。」

まるでプロポーズのような真さんの言葉に私は一気に涙が溢れた。
大吾、私どうしたらいい?私だけ幸せになっていいの?

「私、わからない…。少しずつ今の生活が当たり前で、大吾がいないのも当たり前で…。でも私だけ幸せになるのが怖いの。あんなに大好きだったのに…。」

「それでいいんだと思う。大吾の気持ちは確認しようがないからね、想像しかできないけど大吾は茉莉さんに一生暗い顔をしてほしいとは思ってないと思うよ。だから幸せなのも、楽しいのも全部俺のせいにしていいよ。俺が勝手に茉莉さんを幸せにするんだ。茉莉さんは仕方なく俺といる。」

私はズルい。まだ真さんのせいにしてるなんて。
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