愛というもの~哀しみの中で~
「実は私写真って一枚も持ってないんだ。施設に行けば移ってる写真あるけど一人一人に焼き増しなんてしてくれないから…」

「そっかぁ、じゃあ今日も沢山撮ったし、これからも沢山撮ろう。アルバムに全部貼って分厚いの何冊も作ろうぜ。」

「うん。」

じわっと涙が目に浮かんで来るのがわかった。
そんな私を優しく大吾は見つめてくれてた。

「さっそくコーヒーのお湯沸かそ。」

「でもお腹いっぱいでケーキ食べれるかな?」

「この前、甘い物は別腹ってわかったって言ってなかったか?お前は痩せすぎだからもっと食べないと。」

「そう言って私に食べ物を与えるからお腹とか太ももに脂肪が付いてきたのよ…」

「へぇ~、どこどこ?」

大吾はニヤリとすると私の太ももを触ってきた。

「や、やめっ!くすぐったいよ。変態。」

「ハハッ、男はみんな変態なのっ!」

私は怒ったふりして食器を台所に運ぶ。
サンドイッチとチキンは残ったからラップして冷蔵庫に入れる。
明日もまた食べられる事が嬉しかった。
やかんを火にかけてお皿を洗う。
お皿は何枚もないから洗わないとケーキを乗せるのがない。

隣で大吾はクリスマスソングを口ずさみながらマグカップにドリップコーヒーをセットしていた。
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