愛というもの~哀しみの中で~
一つ一つのやり取りが楽しかった。
でもそろそろプレゼントを渡す頃かなって思うとすごくドキドキしてきた。
大吾はどんな反応をするだろう?

考え出すと緊張してきた。
とりあえず気づかれないように平静を装ってケーキを冷蔵庫に直す。
後ろから私を追ってきた大吾がまた私を抱きしめる。

「ひぁあっ。」

思わずビクッとして大きな声が出た。

「あっ、ごめん…大丈夫、もう何もしないから。」

私が怖がったと勘違いしたらしい大吾は慌てて私から離れて距離を取った。

「違う、ごめん、ただびっくりしただけだから。大丈夫。」

私は大吾に触れようと手を伸ばしたけど、その手をぎゅっと握るとすぐに離された。
せっかく楽しかったのに雰囲気を悪くしてしまったことに胸が痛くなった。
本当に大吾は大丈夫なのに…

それから大吾はテーブルに戻りコーヒーを飲んでいた。
私は押し入れに隠しておいたプレゼントを取り出し、口から心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしながら大吾の横へ行き座った。

「大吾、今日はいろいろありがとう。楽しかった。あの、ね、その、プレゼント。」

私は少し手が震えつつも大吾にプレゼントを差し出した。
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