愛というもの~哀しみの中で~
9
手は胸へと移動し、ブラジャーの中に侵入してきた。
頭が追いつかず、自分の意思とは別に声が漏れる。
大吾も興奮してきたのか息づかいが荒くなってきた。

荒い息づかいだけが耳に残り徐々にあの日のことが蘇ってくる。
あの人も胸を弄りながら鼻息荒く私の首を舐めていた。

「や、やめて。お願い…」

目から生暖かい涙が流れる。
大吾の動きが止まる。

「茉莉、目を開けて。俺を見て。大丈夫、俺だよ。」

そう言われて、自分がぎゅっと目を瞑っていることに気づいた。
目を開けるとそこに大吾の顔があり安堵する。
そうだ、ここは自分の家で、今触っているのは大吾だ。

「うん、ごめっ…大吾、良かった。大吾だ。良かった…」

「そう、俺だよ。茉莉は目を開けてて、俺を見てて。俺しかいないから。大丈夫。」

涙は止まらず次から次へ溢れる。
でも怖くない。私は笑顔で頷く。
そのままキスをすると止まっていた手がゆっくりと動き始めた。

「茉莉、おっぱい嫌じゃない?」

私はこく、こく、と頷く。

「服も脱がしていい?」

また頷くと、手慣れた感じであっという間に上半身裸にされた。
思わず恥ずかしくて胸の前で腕をクロスして隠す。

「きれいだ。見せて。」
< 94 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop