天満つる明けの明星を君に②
百鬼夜行とは即ち人に対して悪事を働く同胞を制裁する行為――

よって当主の朔は常に狙われ、朔を守るべく力ある百鬼たちが集う――それが百鬼夜行。

弟妹たちは皆あらゆる側面から朔を支援してきた。

朔は悪事を働く者に容赦なく、輝夜は性根が優しすぎるため、殺める行為に幼い頃から心を痛めて来たが、朔の元へ帰って来る際、兄のためなら厭わないと心を決めて百鬼夜行に同行することが多い。

その点天満は性根は優しいものの朔と同様に悪事を働く者には容赦なく、その太刀筋は神速の如き神業で、時折百鬼夜行に同行すると、その姿を見て逃げ出す者も在る。


「…で?吉祥を同行させてどうする」


「どうもしません。見たいというので見せてやればいいんじゃないかなと」


朔に請いに行った天満は、きょろりと辺りを見回して人気がないことを確認すると、朔の方へ身を乗り出して小声で囁いた。


「雛ちゃんも一緒です。僕もいいとこ見せたいので、前線に置いて下さい」


「ふうん、少し進展したようだな。雛乃の思いは聞いたか?」


「いえ、それはまだ。というよりも男の僕から言わなければと思っています。口付けを交わした勢いで先に進むのもどうかと思いますし、今は一緒の布団で寝れるだけで幸せです」


「お前は本当に欲がないな」


分かったと言って笑った朔に頭を下げて居間を出た天満は、外で待機していた輝夜ににこりと微笑まれてはにかんだ。


「私も今夜は一緒に行きますよ」


「見せ場は僕に譲って下さいね」


「もちろんですとも。兄さんは私が守りますから、お前は存分に」


「やった!」


喜ぶ弟の頭を撫でた輝夜は、憂いに満ちた表情で、やっと幸せを掴みかけている天満を優しい眼差しで見つめた。


指す道は――天満にとってどんな影響を及ぼすのか?

だが何が起きようとも弟を支える――

それだけは、確かだった。
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