天満つる明けの明星を君に②
朔の許可が下りたと聞いた吉祥は、夕暮れになって庭に大集結した百鬼たちをはじめて目の当たりにしていた。

彼らの姿形は大小様々で、人型も居れば獣型や奇形も居る。

だがどの種族でも恐らくひと際美しい者たちであり、容姿の美しさは本人の力にも直結している。

吉祥自身も決して醜くはないが、突出して美しいとも言えない。

しかも朔の周囲に侍っている百鬼は特に、心の底から‟やばい”と思った。

大陸でも名を馳せた白狐の九尾から、氷雪系最強の雪男、輝夜、天満――男から見ても彼らは目映く、美しかった。


「猫又、今日はよろしく頼むよ」


「はいにゃ!」


おどおどする雛乃をくんくん匂ってにかっと笑った虎柄の猫又に雛乃を乗り込ませた天満は、ひらりとその後ろに乗り込むと、いつもは付けない手綱をその手に持たせた。


「猫又は操作しなくても攻撃を勝手に避けてくれるけど、止まりたい時はこれを引いて。僕も手を添えておくから」


「は、はい」


――吉祥の目には、ふたりがいちゃついているように見えた。

一応刀は携帯しているが…振るったことはほとんどない。

その点朔と天満の三振りの刀は勝手に談笑しており、刀が話す自体異常なのだが、その刀たちに認められた朔と天満は傑物と言えた。

そして輝夜の腰に提げられている刀は無銘のものだが、今にも喋り出しそうな不気味な雰囲気を醸し出している。


「言っておくが、お前の身の保証はない。殺し損ねた敵が向かって行ったら自分で処理しろ」


朔に素っ気なくそう言われた吉祥は、朔に頼み込まれて渋々といった表情の小柄の猫又に乗り込み、天満らに追従した。


自分はここでは異分子だ。

歓迎されているわけでもなければ、むしろ早く遠野に帰れと言わんばかりの対応をされる。


「構わんとも。俺は必ず雛乃を連れて帰る」


鈍い炎が揺らめく。

じりじりと焦げて、吉祥の内側から焼き尽くそうとしていた。
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