天満つる明けの明星を君に②
「ちゃん…雛ちゃん、そろそろ暁が来るよ、起きて…」


「んむぅ…?」


背中をぽんぽんと叩かれて寝ぼけた状態でうっすら目を開けた雛乃は、天満の腕の中で目覚めたことで一気に覚醒して手を突っ張って天満の胸を押した。


「起きた?ぐっすり寝てたね。僕もちょっと寝坊しちゃったから準備しないと」


「す、すみません!」


飛び起きた雛乃の胸元が若干はだけて胸の谷間が見えると、天満は自然に視線を逸らして枕元に置いてあった羽織を身体にかけてやった。


だが――それは天満も同じで、引き締まった胸板が見えて気が動転しそうになった雛乃は、床から這い出て鏡台の前に座り、髪を整えた。


…最近こうして目覚めることが多い。

だがいつも寝る時は自分が先に寝て、こうして起こされるため、天満の寝顔を拝める機会はあまりないが、拝めた時は本当に幸せで、このまま眠っていたくないと思うのに、安心しきって眠ってしまう。

吉祥さえ居なければ――もう少し積極的になれるかもしれないと思う反面、告白してもいいのだろうか、という迷いがまだ拭いきれない。


「そろそろ吉祥を追い出そうと思うんだけど、どう思う?」


「えっ?えっと…そうですね…そろそろ若様には遠野に戻ってほしいですけど…」


「後で呼び出すから、その時は雛ちゃんも同席してほしい。いや?」


「いえ、大丈夫です。天様が居て下さるなら」


見つめ合った時、勢いよく襖が開いて暁が鼻息荒く乱入してきた。

これは毎回のことなのでふたりは特に驚くこともなく、天満の膝に上がり込んでご満悦のじゃじゃ馬を愛しげに見つめた。


「暁、今日は忙しいから大人しくできる?」


「うん!多分!」


「多分かあ、そっかあ」


はなから大人しくしてくれるとは思っていないが、一応訊いてみたものの、この返答。

三人は声を上げて笑い、手を繋ぎ合いながら部屋を出た。
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