天満つる明けの明星を君に②
「え…雛ちゃん…天ちゃんのお嫁さんになるの?」
こんな疑問から始まった暁は、焦る雛乃と落ち着いた笑みを浮かべている天満の顔を見比べてどこかぽかんとしていた。
天満は物心つく前から独り身であり、常に自分の傍に居てくれて、女の影すらなかった。
その天満が雛乃と想い合っている聞いて、身体の奥底からじわじわと何かがこみ上げてきていて、身体をむずむず動かしていた。
「お、お嫁さんと言うか…まだそこまでは至っていませんけど…」
「でもいつか天ちゃんのお嫁さんになるかもしれないってことだよね?天ちゃん、そうでしょ?」
「うん、そうだよ」
あっさりそれを肯定した天満の顔を首の筋が違えそうな勢いで振り返って見た雛乃の目があまりにも見開かれていて、思わず吹き出した天満は、立ち尽くしている暁の前で膝を折って両手を握った。
「駄目?」
「駄目じゃないよ!天ちゃんは私のお婿さんになるんだったけど、雛ちゃんにあげる!」
初耳の情報に固まった雛乃だったが、天満が慌てて立ち上がり、弁解するため口を開けたり閉めたりしているのを見ると、それが確かなものではないとすぐ分かったため、くすりと笑った。
「あの、これは違うんだ雛ちゃん」
「ふふ、分かってます。暁様、私は父母も知らず、良い家柄の者でもありません。この家には不釣り合いな女です。だけど…天様のことはお慕いしています。できればお傍に置いて頂きた…」
「お傍に置くよ!ずっとずっと!」
天満ではなく何故か暁がそう返事をすると、亡くした娘のように大切にしてきた天満は、縁側に座って暁を膝に乗せると、その頭を撫でた。
「僕も同じだよ。ずっとずっと」
今度こそ、ずっとずっと――
こんな疑問から始まった暁は、焦る雛乃と落ち着いた笑みを浮かべている天満の顔を見比べてどこかぽかんとしていた。
天満は物心つく前から独り身であり、常に自分の傍に居てくれて、女の影すらなかった。
その天満が雛乃と想い合っている聞いて、身体の奥底からじわじわと何かがこみ上げてきていて、身体をむずむず動かしていた。
「お、お嫁さんと言うか…まだそこまでは至っていませんけど…」
「でもいつか天ちゃんのお嫁さんになるかもしれないってことだよね?天ちゃん、そうでしょ?」
「うん、そうだよ」
あっさりそれを肯定した天満の顔を首の筋が違えそうな勢いで振り返って見た雛乃の目があまりにも見開かれていて、思わず吹き出した天満は、立ち尽くしている暁の前で膝を折って両手を握った。
「駄目?」
「駄目じゃないよ!天ちゃんは私のお婿さんになるんだったけど、雛ちゃんにあげる!」
初耳の情報に固まった雛乃だったが、天満が慌てて立ち上がり、弁解するため口を開けたり閉めたりしているのを見ると、それが確かなものではないとすぐ分かったため、くすりと笑った。
「あの、これは違うんだ雛ちゃん」
「ふふ、分かってます。暁様、私は父母も知らず、良い家柄の者でもありません。この家には不釣り合いな女です。だけど…天様のことはお慕いしています。できればお傍に置いて頂きた…」
「お傍に置くよ!ずっとずっと!」
天満ではなく何故か暁がそう返事をすると、亡くした娘のように大切にしてきた天満は、縁側に座って暁を膝に乗せると、その頭を撫でた。
「僕も同じだよ。ずっとずっと」
今度こそ、ずっとずっと――