天満つる明けの明星を君に②
その頃朔は机の前に座って腕を組んで考え事をしていた。
天満が雛乃に全てを打ち明けるか否かは本人に任せているけれど、どちらにせよ納得してもらえるものと思っているし、最終的には雛乃と夫婦になることは明白だ。
そうなれば、祝言を挙げる準備をしなければならないし、どこに居るか分からない両親を呼び寄せなければならない。
居所は式神を飛ばせば分かるため、こうして文面を考えていた。
「ねえ朔、天満さんたちが夫婦になったらどこに住むの?ここでいいのよね?」
「うん。輝夜もここに住んでるし、一角をふたりに充てようと思うんだけど、どこがいい」
「そうねえ、このお屋敷広すぎるし…ここがいいんじゃないかしら」
すでに図面を手にしていた芙蓉のきつい美貌がいつも以上に輝いていて、眉を上げた朔は筆を置いて芙蓉に向き直った。
「楽しそうだけど」
「楽しいに決まってるじゃない!朧さんでしょ、柚葉でしょ、それに雛乃さんがここに住んでくれたら女同士で楽しく過ごせるもの」
友人の少ない芙蓉にとっては女友達は喉から手が出るほど欲しい存在であり、朔はそれをよく知っているため、こくんと頷いた。
「俺もそう思う。とりあえず父様たちに文を出すから、お前は柚葉と一緒にどの一角がいいか選定しておいて」
「任せて。ふふ…天満さんったら、あれをいつ雛乃さんに渡すのかしら…ふふふふふ」
含み笑いを漏らす芙蓉に肩を竦めた朔がまた机に向かった時――輝夜は軟禁されている吉祥の部屋の前に佇んでいた。
いつも笑みを絶やさないはずのその美貌は――どこか無表情に近く、襖の先に居る吉祥の様子を注意深く窺っていた。
天満が雛乃に全てを打ち明けるか否かは本人に任せているけれど、どちらにせよ納得してもらえるものと思っているし、最終的には雛乃と夫婦になることは明白だ。
そうなれば、祝言を挙げる準備をしなければならないし、どこに居るか分からない両親を呼び寄せなければならない。
居所は式神を飛ばせば分かるため、こうして文面を考えていた。
「ねえ朔、天満さんたちが夫婦になったらどこに住むの?ここでいいのよね?」
「うん。輝夜もここに住んでるし、一角をふたりに充てようと思うんだけど、どこがいい」
「そうねえ、このお屋敷広すぎるし…ここがいいんじゃないかしら」
すでに図面を手にしていた芙蓉のきつい美貌がいつも以上に輝いていて、眉を上げた朔は筆を置いて芙蓉に向き直った。
「楽しそうだけど」
「楽しいに決まってるじゃない!朧さんでしょ、柚葉でしょ、それに雛乃さんがここに住んでくれたら女同士で楽しく過ごせるもの」
友人の少ない芙蓉にとっては女友達は喉から手が出るほど欲しい存在であり、朔はそれをよく知っているため、こくんと頷いた。
「俺もそう思う。とりあえず父様たちに文を出すから、お前は柚葉と一緒にどの一角がいいか選定しておいて」
「任せて。ふふ…天満さんったら、あれをいつ雛乃さんに渡すのかしら…ふふふふふ」
含み笑いを漏らす芙蓉に肩を竦めた朔がまた机に向かった時――輝夜は軟禁されている吉祥の部屋の前に佇んでいた。
いつも笑みを絶やさないはずのその美貌は――どこか無表情に近く、襖の先に居る吉祥の様子を注意深く窺っていた。