天満つる明けの明星を君に②
朔は足をばたばたさせながら膝の上で満足そうにしている暁に注意点を話していた。
「雛乃はお前付きの世話役となるが、世話役だからといって我が儘ばかり言ってはいけない。あの娘はおかしな男に狙われているから、ここで預かるのが一番いいと天満が判断したんだ」
「はあい。我が儘は雪ちゃんに言えばいいんだよね?」
「おいおい…我が儘は天満に言えよな」
ため息交じりに吐息をついた雪男は、懐から文を出してそれを読み上げた。
「ちょっと調べてみたんだけど、鬼脚の男は雛乃が逃げ出した後躍起になって捜し回ってるらしい。ぽん…狐狸の家族を脅迫して聞き出そうとしてるらしくて、狗神刑部にも動いてもらったけど、あの家とは関わりたくないらしくてあんま乗り気じゃないみたいだ」
「そうか。狐狸の家族といえば、赤子だった雛乃を拾い育てたできた男だったな。…雪男」
「そう言うと思って、こっちに呼び寄せる手配もしておいたぜ」
「さすができる男ですね」
にやっと笑った雪男に微笑んだ輝夜は、暁の膝をくすぐって笑わせながら、朔に問うた。
「追って来るのでは?」
「返り討ちにするまでだ。まあ、俺じゃなくて天満がやるだろうが」
そうですね、と輝夜が笑い、朔は暁を退出させた後、座椅子に身体を預けて天井を見上げながら、かつての天満を振り返った。
「あれが雛菊と所帯を持った時はまだ若くて幼さがあったが、今は時が経って随分男らしくなって落ち着きもある。うちの百鬼の女たちは天満の話題で持ちきりだ。待っていた女が現れた今、あれが臆することはないだろう。雪男、輝夜…あれらの仲を阻害する者は即刻排除しろ。俺が許す」
「はい」
「了解」
恐ろしいまでの実力の持ち主たちは、揃って頷いた。
「雛乃はお前付きの世話役となるが、世話役だからといって我が儘ばかり言ってはいけない。あの娘はおかしな男に狙われているから、ここで預かるのが一番いいと天満が判断したんだ」
「はあい。我が儘は雪ちゃんに言えばいいんだよね?」
「おいおい…我が儘は天満に言えよな」
ため息交じりに吐息をついた雪男は、懐から文を出してそれを読み上げた。
「ちょっと調べてみたんだけど、鬼脚の男は雛乃が逃げ出した後躍起になって捜し回ってるらしい。ぽん…狐狸の家族を脅迫して聞き出そうとしてるらしくて、狗神刑部にも動いてもらったけど、あの家とは関わりたくないらしくてあんま乗り気じゃないみたいだ」
「そうか。狐狸の家族といえば、赤子だった雛乃を拾い育てたできた男だったな。…雪男」
「そう言うと思って、こっちに呼び寄せる手配もしておいたぜ」
「さすができる男ですね」
にやっと笑った雪男に微笑んだ輝夜は、暁の膝をくすぐって笑わせながら、朔に問うた。
「追って来るのでは?」
「返り討ちにするまでだ。まあ、俺じゃなくて天満がやるだろうが」
そうですね、と輝夜が笑い、朔は暁を退出させた後、座椅子に身体を預けて天井を見上げながら、かつての天満を振り返った。
「あれが雛菊と所帯を持った時はまだ若くて幼さがあったが、今は時が経って随分男らしくなって落ち着きもある。うちの百鬼の女たちは天満の話題で持ちきりだ。待っていた女が現れた今、あれが臆することはないだろう。雪男、輝夜…あれらの仲を阻害する者は即刻排除しろ。俺が許す」
「はい」
「了解」
恐ろしいまでの実力の持ち主たちは、揃って頷いた。