幼なじみの不器用な愛情
「もう遅いから、ちゃんとカギ閉めて寝ろよ?布団で寝ろよ?」
「うん。見て!」
華はそういうと自分のバックの中から一枚の紙を出した。
それは今日の朝、隆弘が華に渡した『鍵!!』と書かれた紙だった。
「玄関に貼っとけ。」
そういう隆弘に「うん!」と嬉しそうな華は、隆弘にまぶしく見えた。
「じゃあな。明日ちゃんと起きて学校に来いよ?」
「うん。お休み。」
「お休み」
華が玄関を開けて中に入るのを見届けて隆弘は自分の家に向かった。
ふと振り向くと華の家の明かりがつく。

あまり飲み会は好きじゃない隆弘。でも、参加したのは華がくると聞いたからだ。

自分のいないところで華が何をしているのかが気になる。自分が近くで守っていないと不安になる。そんな自分の気持ちに名前を付けるとしたら・・・。
でも今は名前は付けられない。

それを華が望まないから・・・。
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