目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「すまないね。百合さん。こんな奴だが宜しく頼みます」

父は正座をし深く頭を下げる。
百合も慌てて深々とお辞儀を返した。

「いっ、いえ。そんな……こちらこそ宜しくお願い致します。私なんかでいいのかと何度も確認したんですが……」

「百合さんは、蓮司には勿体ない方だと思いますよ」

「そっ!そんなことは決して!……」

百合は両掌を父に向け、真っ赤な顔をしてぶんぶんと振る。
そして父は、そんな彼女を見て目を細めた。
……俺は今、目の前で起こっていることがわからない。
父は、知ってる父とは別人のようだった。
無愛想で無表情で冷酷で。
仕事の鬼である一色雅晴は、人前で笑ったりはしなかった。
ここにいるのは一体誰だ!?
宇宙人が入れ替わったりしてないだろうな?などと、あり得ないことも考えてしまう。
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