目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「お忙しいなか葬儀にお越し下さり、ありがとうございました。なんとか、元気にやってますよ?あ、どうぞ、散らかってますが……」

私は中へと一色さんを促した。

「いや。今日は……様子を見に来ただけだから。それより夕食は食べたの?」

「いえ。まだ……」

というか……食欲はない。
今夜は食べずに寝るつもりだった。

「じゃあ、俺と行こう!」

「えっ!?あの……でも……」

一色さんの提案に、私は言葉がうまく出てこない。

「嫌かな?迷惑?」

「迷惑なんて……」

「決まりだね。このまますぐ行こう」

すっかり彼のペースに乗せられてしまい、もう断る理由が見つからない。
昔から押しが強くて強引な所は見ていたけど、それが私に向く日がくるなんて考えたこともなかった。
ニコニコと笑う一色さんが、何を考えているかさっぱりわからない。
様子を見に来てくれただけなのか、何か他に思惑があるのか?
どっちにしろ、 言い訳なんか考えても同じ。
一色さんに引く気が全く無いのを私は感じ取っていた。

「ま、待って!あのこんな格好だし……」

取りあえず一旦落ち着く為に、着替えることを提案してみる。

「じゃあ着替える?ここで、待ってるから」

飄々と言う一色さんに頷くと、私は足早に部屋への階段を駆け上がった。
< 229 / 285 >

この作品をシェア

pagetop