目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
彼と食事を重ねる度に、私の心はとても軽くなっていった。
父の死を、頭ではわかっていたつもりで、本当は拒否していた。
そのことに気付いたのは、一色さんと夕食を共にし、父との思い出を共有し始めてからである。
私は父を忘れるのが嫌だった。
忘れたくなかった。
一色さんと一緒にいて、彼が一貫して言っていたことがある。
それは「忘れる必要はない」ということだった。
私と一色さん。
父を知る者同士が、その思い出を語り、共有すること。
そうすることで、父は私の思い出の中でいつまでも生きている。
それを教えてくれたのは、一色さんだ。
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