目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

「何かご用ですか？」

「ふふ。そうね？当ててみて？」

「……蓮司さんのこと？」

「……まぁ、関係なくはないわ……」

声が冷たくなった。
少し動揺したのかもしれない。
もう少し突っ込んで質問してみようか？

「なら！うちに電話をするよりも、蓮司さんに直接連絡してみればどうですか？」

「…………」

返事がない？

「あいしまさん？」

「……っさいわね……」

なんだかくぐもった声がした。
地中深くから聞こえてくる悪霊の声のような……。

「え？」

「うるさいって言ってるの！！かけられるものならかけてるわ！」

電話口から怒号が聞こえた。
か、かけられるものならかけている？
……あ、そうか。
番号を変えられてしまったのね。
つまり、蓮司さんに番号を変えられて、連絡がつかないからこちらにかけてきた、と。