目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
彼女は、自虐的にせせら笑う。
それが常軌を逸していてとても怖かった。
何をするかわからない、そういう雰囲気をひしひしと感じる。
ただ、彼女の話を繋ぎ合わせてみると蓮司さんと結婚するのは私だった!という叫びだと理解した。

「蓮司さんのこと、好きだったんですね」

「違うわよ。ステータスの高い男と地位とお金がほしいだけ」

「蓮司さんと結婚して、それを手にいれようと?」

「あら、そうよ。やっと理解したわね、おバカさん?」

バカにしたように言われ、少しムッとした。
一言余計なのよ。
蓮司さん、この人のどこが良かったんだろう……いや、私だっていいとこないけど……。

「それじゃあ、これは、私に対する嫌がらせだと?」

「そんなものじゃ済ませないわ」

「……どういう意味です?」
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