目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
その理由は薬学部、教授八神憲一郎との出会いだった。
八神教授はとても尊敬出来る恩師であり、当時父親と不仲であった俺は彼を父親だと思うほど慕っていた。
研究以外は無頓着な教授の身の回りの世話をするのは楽しかったし、講義の準備や各地での講演の手配をするのも苦にならない。
沢山いたゼミ生の中でも、俺は特に教授と親しい学生だった。
家に呼んで夕食を御馳走してくれたりすることなどいつものこと。
手に入らないような高価な蔵書をポンと貸してくれたりしたこともある。
お陰で俺は論文を書くのに苦労しなかったし、栄養面もバッチリ補えていた。
その栄養面を支えてくれたのが、八神百合。
教授の一人娘だった。
彼女は教授に似て人当たりが良く、初めて会った時も、柔らかく微笑んで、恥ずかしそうに頬を染めていた。
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