目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「私としたことが……申し訳ありません。奥様に声を荒らげるなど……」

「いいんです。それは、三国さんが私のことを心配して下さっているから、でしょう?」

「奥様……」

少しばつの悪い顔をした三国さんは、一度メガネを外してクロスをとりだした。
そしてキュッキュッ、と二回程拭くとまたかけ直す。
するとそこには、キリリとクールな三国さんが戻っていた。

「私、少し感情的になってしまいました。御許し下さい」

「はい。もちろんです。ふふ、三国さんはそういう姿がやっぱり素敵だと思います」

「……恐れ入ります。それで……僭越ながら奥様に一つ御忠告を」

「忠告?」

三国さんは首を傾げる私を見て、怖いくらい真剣な眼差しを向ける。
それに呼応して私も構えた。
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