綴る本
青年は不承不承に歩み寄るなり、少女と言い争いをしていたいかにも難癖をつけそうな男性三人に言い聞かせるように話し掛ける。「どんな理由があるにせよ、ここで言い争いをやめようか」
これに反論するのは男性三人かと思いきや、少女の方だった。
「ここで、はいそうですねというと思ったかしら? 言うわけないわよ! こいつら人込みに紛れて私の胸揉んできたのよ! これを許せというの!?」
語気を荒くして少女は大きな夕陽のような色の瞳で男性三人を睨み付けた。胸を腕で多い隠している。
対して男性三人は、卑猥な瞳を湛えながら少女の身体を下から上を舐め回すように見やった。少女が悪寒にでも襲われたかのように、体が小刻みに震える。凄まじい程の生理的嫌悪感にあっているのだろう。
「俺達がそんなことするわけないだろうが」
そう言って一人がせせら笑う。つられて他の二人も笑った。
その態度がしてましたといっているようなもんだと、青年は思うが口にしない。
「君はどうしたい?」
一向に話が進まなさそうなので、青年が不運な目にあって一人息巻いている少女に問い掛けた。彼女の瞳と合うと、惚けた表情をされて少し顔を赤らめられる。
「あ、謝ってくれたら、そ、それでもういいわ」
髪の色と同じカーディガンの袖を掴み、俯きながら少女がどもりつつ言った。
「だそうですが、それでいいですか?」
少女から男性三人に顔を向ける。
「してもいねえのになんで謝らなけりゃいけねえんだ? 頭可笑しいのかよ」
ケラケラと三人が下品に笑った。
その態度に少女が声を張り上げようするのを青年は片手で制し、綺麗な顔を歪めた。
「譲歩されたにも拘らずその態度はよくない。話し合いは決裂だ」 そう言って、青年がその場から一瞬消えたかと思うと、また同じ場所に立っていた。周りにいた人の中で青年の動きを目で追えた者は誰もいない。青年は知らないが、近くにいる師団長の地位に位置する彼女ですら動いたと思われる影しか捉えることが出来なかった。
糸が切れたように地面に崩れ落ちた男性三人に、青年は見下した瞳を向けた。そして何事も無かったかのように王城へと続く道に向かって歩いていった。
突然人が倒れたことに気が動転した周りの人達が駆け寄る中、少女は目を見開き青年の去っていく後ろ姿を見つめていたのだった。
これに反論するのは男性三人かと思いきや、少女の方だった。
「ここで、はいそうですねというと思ったかしら? 言うわけないわよ! こいつら人込みに紛れて私の胸揉んできたのよ! これを許せというの!?」
語気を荒くして少女は大きな夕陽のような色の瞳で男性三人を睨み付けた。胸を腕で多い隠している。
対して男性三人は、卑猥な瞳を湛えながら少女の身体を下から上を舐め回すように見やった。少女が悪寒にでも襲われたかのように、体が小刻みに震える。凄まじい程の生理的嫌悪感にあっているのだろう。
「俺達がそんなことするわけないだろうが」
そう言って一人がせせら笑う。つられて他の二人も笑った。
その態度がしてましたといっているようなもんだと、青年は思うが口にしない。
「君はどうしたい?」
一向に話が進まなさそうなので、青年が不運な目にあって一人息巻いている少女に問い掛けた。彼女の瞳と合うと、惚けた表情をされて少し顔を赤らめられる。
「あ、謝ってくれたら、そ、それでもういいわ」
髪の色と同じカーディガンの袖を掴み、俯きながら少女がどもりつつ言った。
「だそうですが、それでいいですか?」
少女から男性三人に顔を向ける。
「してもいねえのになんで謝らなけりゃいけねえんだ? 頭可笑しいのかよ」
ケラケラと三人が下品に笑った。
その態度に少女が声を張り上げようするのを青年は片手で制し、綺麗な顔を歪めた。
「譲歩されたにも拘らずその態度はよくない。話し合いは決裂だ」 そう言って、青年がその場から一瞬消えたかと思うと、また同じ場所に立っていた。周りにいた人の中で青年の動きを目で追えた者は誰もいない。青年は知らないが、近くにいる師団長の地位に位置する彼女ですら動いたと思われる影しか捉えることが出来なかった。
糸が切れたように地面に崩れ落ちた男性三人に、青年は見下した瞳を向けた。そして何事も無かったかのように王城へと続く道に向かって歩いていった。
突然人が倒れたことに気が動転した周りの人達が駆け寄る中、少女は目を見開き青年の去っていく後ろ姿を見つめていたのだった。