愛され秘書の結婚事情
悠臣は、時代を感じさせる平屋建ての佐々田家を見て、「立派なお宅ですね。趣があって美しい」と感想を述べた。
「はぁ、まあ、どうも……」
「古いだけですよ。でも私も、この家が好きです」
七緒の言葉に路子はびっくりしたが、悠臣は穏やかな表情のまま「そう」とだけ言った。
「まあ、とりあえず、中へどうぞ……」
路子に促され、悠臣は「失礼します」と言って、広い玄関から中に入った。
するとそこに今度は、弟の竜巳が顔を出した。
母親似の優しい顔の彼は、龍が描かれた黒Tシャツにスエットパンツという格好で客人を迎え、“尊敬する央基の敵”に先制の一発をお見舞いしてやろうと身構えていた。
だが家の中に入ってきた悠臣を見た途端、彼は母親と全く同じ反応をした。
「な……」
(なんだあのイケメン! 背、たけえ! 俳優かっ? 芸能人かっ!?)
央基とはまた違ったタイプのイケメンな姉の恋人は、大人の男としての落ち着きと所作の美しさがあり、一目見た瞬間、彼は「これは自分では歯が立たない」と思った。