愛され秘書の結婚事情

 正社員は全員、簡単な筆記テストと面接を受ける決まりだが、この面接も全て社長自らが行った。

 そこで七緒は隆盛に気に入られ、彼女の秘書室への配属も彼が決めた。

 悠臣が常務に就任した際、隆盛は社長の席を古い友人でもある木ノ下三雄(きのしたみつお)専務に譲り、自分は会長職に退いた。

 現在のサブマリンは、木ノ下社長の下で三人の専務取締役と四人の常務取締役がおり、計八人の役員で構成されている。

 社長には二人の専属秘書と秘書補佐が付き、他の役員には一人ずつの専属秘書、さらに全役員のサポートを行う秘書室が設けられている。

 見た目秘書らしくない七緒だったが、社内に二十名近くいる秘書の中で、“無個性”という意味では一番マトモな秘書だった。
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