社長の溺愛にとかされて
(えー私の服なの?)

服をあてたまま、右手でさっと値札を見る。

この上の服だけで9万?

もう似合うとか似合わないとかの問題ではない。

えへへと愛想笑いして、慎也の腕をつつく。

「慎也、そろそろ行こう」

え?と言う顔をする慎也と店員さん。

「気に入らなかった?」

その言葉を曖昧に濁して、笑顔を向ける。

店員さんに、「すみません」と慎也が服を渡しているのを見て、
私は足早に出口に向かう。

慎也が私を追ってきてくれて「また」と店員さんに挨拶をしている。

「ぜひまたお越し下さいませ」

そう言って丁寧に礼をする店員を背に、店を出た。
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