社長の溺愛にとかされて
「俺の母親もそんな感じで、
 父親に対して、表面的にはいい妻を装っているが、
 一部の人には悪口を言っているのを聞いて育ったから、
 女の人ってこんなもんだと、どこか達観していた」

ショックを受けるのも可愛そうだけど、達観してるのも、
それはそれでどうかと思う・・・

「で、玲緒奈の事が好きになったきっかでだけど、
 数か月前、ウチのスタッフ、俺の悪口言ってたの、
 玲緒奈庇ってくれてただろう?」

リンゴ飴がだいぶ溶け、リンゴをかじりならが、記憶を探る。
確かに成果を出せなかったスタッフが慎也の悪口を言って、私が注意した。

「庇うっていうか・・・あれは当然でしょう?
 あのスタッフが悪くて、慎也に非がないのは分かり切っている事じゃない」

「それでも、それを聞いて嬉しかったんだよ、
 陰では皆悪口しか言わないって思ってたから」

「いや、私も愚痴ぐらい言うよ?」

「分かってるよ、俺にとっては、過去の呪縛から逃れられたって事、
 それが大切だったんだ。
 だから、玲緒奈の過去の事を知って、余計過去から抜け出して欲しくなった、
 俺を救ってくれたから」

「救うって大袈裟だよ」
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