社長の溺愛にとかされて
車の中で、心臓はずっとどくどく言っている。

いつもは車のエンジンの音を聴くのだが、今日はエンジンより心臓の音
の方が大きい。

(凄い事、言っちゃったな・・・)

自分の言った事に今更ながら、びっくりする。

でも、自分の気持ちに正直にいたいと思うし、
慎也の気持ちを聞いて、今が一番いいと思う。

手を膝の上でぎゅっと握りしめる。

「大事にする」

ぽつんと言われた言葉に、ビクンと体が反応する。

「うん」

そのまま車が向かったのは、大きな高級ホテル。

慎也の部屋へ行くんじゃないの?

車が迷う事なく、地下の駐車場に滑り降りていくのを見ながら、
慎也の顔を見る。
< 86 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop