社長の溺愛にとかされて
豪華なエントランスを抜け、コンシェルジュに案内され、
やって来たのは、かなり上の階。

大きな扉が、恭しく開けられる。

「ありがとう」

慎也がコンシェルジュからキーを受け取ると、

「何か御用がありましたら、お呼び下さいませ」

と丁寧な礼をして、コンシェルジュが部屋を出て行った。

「玲緒奈」

その言葉に慎也の胸に飛び込む。

何も考えず、衝動的に体が動いた。

胸がいっぱいで言葉が出ない。

慎也は背中を、優しく撫でてくれる。

「何か飲む?シャンパンとか・・・」

私は慎也の胸で首を振る。

「シャワー浴びる?」

その言葉に弾けるように、お風呂があると思われる場所にダッシュする。

我ながら余裕がないと言うか、子供っぽいと言うか・・・

少し情けなくなっても、私としてはいっぱいいっぱい。
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