ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「確か、怪我していない足を最初に出して、松葉杖を突きながら怪我した足を出す・・・・という流れじゃないか?」
『へっ?』
「どうせ、高島は明日、欠勤するとか考えてないだろ?」
『・・・ええ、まあ・・・』
「高島のクラスは2階。だから、階段を昇れるようにしないとな。怖いようなら手を貸すから。」
駐車場とは異なり、照明がすぐ真上にある階段下。
そのせいで入江先生が苦笑いを浮かべたのをはっきりと捉えることができてしまった。
『あ、ははは。そうですね。』
多分、見抜かれたんだと思う
ついさっき、あたしが頭の中で入江先生に抱きかかえられる姿を想像していたことを
こんなあたし、恥ずかしい
せめて自分で頑張ることぐらいは伝えておかないと
また入江先生の手を煩わせてしまうかもしれない
『明日も・・・・ギッシリ授業が入ってるし、ホームルームで話し合わなきゃいけないこともあるので、休めませんから・・・・頑張って覚えます。階段の昇り方。』
「頑張れ。すぐ傍で見ていてやるから。」
今度は苦笑いではなく、バレーを教えてくれていた時のようにニッコリと笑ってくれた。
あたしは大きく頷いた後、階段を一段上がってみた。
『ヒヤヒヤです~。』
グラグラする体。
なんとかバランスを取って立っていることができた。
「いいぞ、その調子。」
そして通行人だけでなく、車も殆ど通らなくなった午後9時過ぎ。
『階段の昇り方、覚えたような気がします。』
「バッチリだったな。」
あたしと入江先生は声を上げながら一緒にゆっくりと自宅アパートの階段を昇りきった。