ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
『・・・・・こんな日が来るなんて・・』
「高島センセ?」
隣の席に座っていた英語科の新人女性教師梅田先生が不思議そうな顔であたしを呼んだ。
『あっ、なんでもない。ゴメン。あっ、そろそろ始まりそうだね。』
「そうですね。校長も来ましたしね。」
梅田先生が教えてくれた通り、校長も体育館にやって来て席についたせいか、ようやく体育館のざわつきが収まってきた。
間もなく時刻は午前9時。
「それではこれより静岡県立浜名南高校離任式を始めます。まずは柴田校長より挨拶があります。」
とうとう離任式が始まった。
相変わらず長い校長の話に一応耳を傾けながらも
視線は壇上の高価そうな壷に活けられている立派な花へ。
校長、やっぱり話、長いな~
でもこれが終わると離任する教師達の話が始まるはず
その教師達の話とはお別れスピーチ
この学校に新任で赴任したあたしはまだ経験したことがないもの
卒業式後である3年生はこの離任式は自由参加だが、それでも全校生徒が集まっているんじゃないかと思うぐらい生徒が集まっている
きっとこんな雰囲気で壇上に自分が立って話をする時が来るのかと思うと腰が引ける自分が容易に想像できてしまう
きっといつも授業を流れるように進める入江先生にとっては
大したことではなさそうとも思ってしまう
今、話している井上先生も堂々と話しているし・・・・
「井上先生、袋井工芸高校でのご活躍をお祈りしております。ありがとうございました。続きまして、来年度、湖西北陵高校に赴任されることになった入江佑也先生に離任の挨拶をして頂きます。入江先生、壇上へお願い致します。」
司会の教頭が入江先生のほうを向いて声をかけた。