ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
椅子から立ち上がった入江先生が言われた通り壇上に向かう。
あたしならこの時点でもう足がガクガク震えて頭が真っ白になりそうなのに
壇上を颯爽と歩く入江先生の姿はいつもとなんら変わらないように見える。
そして入江先生がとうとう壇上の真ん中にある台に立ち、マイクスタンドを引き伸ばして高さを変えた後、こちらのほうを向いて一礼をした。
入江先生の一連の行動を誰もが皆、じっと見守っていたせいか体育館内は静寂に包まれていた。
そんな中、彼は小さく口を開く。
「・・・こういう場で何を話せばいいのか、ずっと迷っていました・・・・いや、今でも迷っています。」
彼の離任の挨拶は普段の迷いのないわかりやすい授業とは対照的な
戸惑いを隠そうとしないまさかの言葉から始まった。