ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「数学の話ならいくらでも出てきますが、別れの挨拶って思うとなかなか出てこない・・・・・でも、まあ、そうも言っていられないみたいですし、今日で最後なんで、数学じゃない話をしてみようかと思います。聴きづらいかと思いますが、まあ、最後なんで大目に見て下さい。」
前に話した先生達とはちょっと異なる・・・教師らしくない言葉
だから、生徒達もいつもよりも入江先生が身近に感じていると思う
私も彼の生徒だったからそう思えるの・・・
今日という別れの日が来るのが本当に嫌だったけれど
入江先生の別れの挨拶の始まりは、そういう日に入江先生は何を話してくれるんだろうという少し前向きな気持ちにさせてくれた。
だから気合いを入れて耳を傾けていたのに
「僕が数学教師になったのは、教育に熱い想いがあったからではありません。ただ、新聞の隅っこに載っていた”フィナボッチ数列をつかった螺旋の描き方”という記事から数学に興味を抱き・・・それで飯を食うのは何か?を考えなきゃならないところまで追い込まれてようやく出てきた職業が数学教師だっただけです。」
彼の口から紡がれた言葉はややマニアックでありネガティブな内容だった。
しかも “数学の話じゃない話をする” って言っておいて
数列が出てきているけど・・・・