ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「なんかまとまりがなくて、しかも、教師失格な挨拶になって申し訳なかったですけど、これで僕からの言葉は以上です。ありがとうございました。」
パチっ、、、パチッ
パチパチパチパチッ
パチパチパチパチパチパチ!!!!!!
“入江先生~ありがと~”
“先生、あたしたちと一緒にがんばりましょう♪”
“教師失格なんかじゃないぜ~”
“茜ちゃん、かなり鈍そうだから、そっちも頑張れ~!!!!!”
割れんばかりの拍手の中
真っ直ぐ前を向き、丁寧にお辞儀をした入江先生。
更に拍手はより一層大きくなるばかりで
彼の人気ぶりだけでなく、
この人の傍に居られたことが自分の教師人生の糧になるであろうということも
改めて痛感する機会になった。
「ハイ、そろそろ静かに。入江先生ありがとうございました。それでは次は・・」
さっき校長に制止されていたせいか、教頭はいつもの口うるさい彼ではなく、少し遠慮気味に仕切り始めた。
そして、その声に背中を押されるかのように壇上を降りるために歩き始めた入江先生は鳴り響き続ける拍手に軽く会釈しながら、階段を下りた。
その光景も
離任式なんかではなく、映画の試写会での芸能人みたいに見えて
入江先生がなんだか遠い存在になったような気がした。