ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



その状態のまま、向かったのは
入江先生の送別会会場である割烹料理のお店。


『それにしても、今回は立派なお店で・・・』

「入江さんへの感謝の気持ちを込めてだぞ。」


主賓である入江先生が到着する前に
お出迎え部隊としてひと足早く送別会会場の店に足を踏み入れた野村先生とあたし。


『あ~、そうですね。』


上品さ満載で敷居の高さを感じずにはいられない店の雰囲気に
少々気後れ気味なあたし。

隣の野村先生は対応してくれた店の美人女将さんと気さくに話ながら案内される部屋まで先に歩いて行ってしまった。

ようやく野村先生に追いついたあたしも部屋に入った。



『それにしてもココ、あたし達が来てもいいところなんですか?』

「お前、何?その冷めた感じ。店にふさわしいとかじゃなくて、入江さんがいなくなるの寂しい・・とかじゃねーの?」


いつもはおチャラけたことばかり口にする野村先生から出たその言葉にも、ただただ気後れするだけのあたし。


『冷めているように見えます?』

「お前、自覚ないだろ?入江さんが離任式に言った言葉を。」

『あ~、どうなんでしょう?本当にあたしのこと、なんでしょうか?』


ポンっ!


「俺らじゃ、お前の面倒、見きれないからな~。しっかりしろよ。」


頭ポンっをしてから心配そうにあたしにそう言った野村先生は
他の数学科の先生達に電話をかけ始めた。



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