ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



いつもはデコピンとか平気でしてくる野村先生らしくない頭ポンっその感触がまだ残る自分の頭を押さえながら
あたしはまだ入江先生が何を考えているか理解できていない自分に少々ガッカリしていた。


『ここの海老しんじょ・・・プリプリで美味しい~』

「・・・・高島。俺の隣に座ったままでいいのか?」

『だって、古川先生、今日はくじ引きで席決めたし、大皿取り分けではなく、ひと皿、一皿運ばれてくるわけですから、ここから動けないでしょ?』

「そうじゃなくてな~・・・・」


送別会が始まってからは、野村先生よりも大人の男感が漂う古川先生もあたしに何か言いたそうで。


「高島先生。僕にコレ、食べさせてくれません?」

『八嶋クン、どういうコト?ってこれ・・・・ブリの刺身?』

「こうでもしないと相手は動かないでしょ?」


八嶋クンまでも何か仕掛けようとしている。
いつもの数学科のおバカな宴会らしくないそんな今日。



「最後にお別れの挨拶を宜しくお願いします。」

「え~、今日はこのような席を設けて頂き、ありがとうございました。こういうお店も数学科らしくないというか・・・何か新鮮でありがたいと思います。今までいろいろと・・・・・・」



離任式の時とは異なり
数学科のみんなへのありがとうメッセージが篭った入江先生の言葉に
バカばっかりの数学教師達が皆、揃って寂しそうな表情を浮かべた今日。

やっぱりいつもと何かが違う
そう思わずにはいられなかった。

だから、あたしがなんとかしなきゃいけない
そう思ったのに



『それでは、ここからは2次会幹事の高島が仕切らせて頂き-------------』

「お前はこっち。」

『へっ?』


あたしはその想いを遮られた。



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