ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



「それじゃ、行こうか。よろしく、幹事。」

『は、、ハイ!!!!!』


午後9時半前。
入江先生とあたしは駅のほうへ歩き始めた。

ついさっきまでいた割烹料理のお店。
いつも飲み会で利用する居酒屋がある場所のような賑やかな場所ではなく、鰻やさんや創作和食など高級料理店が並ぶ一角にあり、人通りも居酒屋街と比べて少なく、静か。

こういう時こそ、酔っ払いのおじさん達に声かけられるぐらいのほうがありがたいのに
この日に限ってはそういう人達の影すらなかった。


そこにあるのは
控えめで品のあるお店の看板だけ。

そこを歩く道中で、入江先生と話すネタを得ることができず、ただただ焦る一方のあたし。
あたしの隣を歩く入江先生の表情を見る余裕もなく・・・
そんな状態であたし達は特に言葉を交わすことなく新浜松駅に着いてしまった。


『あっ、9時40分、1番線から、西鹿島駅行き・・・あと2分・・ですね。』

「・・・・なんとか間に合いそうだな。」


ようやく交わした言葉も駅の電光掲示板を介した話。



『切符、買わなきゃ。えっと、曳馬だから・・・・』


切符の自動販売機の前で運賃も書き込まれた路線図を見上げ、自分が降りる駅を探す。
その間に入江先生は彼自身の切符を買っていたらしく

「高島の分も買っておいたから・・・確か、最寄の駅は曳馬駅だろ?」

あたしの分の切符まで買ってくれていたみたいだった。



『あっ、ありがとうございます。曳馬は190円だったですよね?払います。』

「いいよ、いらない。」

『でも・・・・』

「今日の送別会はご馳走になったし。これぐらいは払わせてもらわないと。」


あたしが差し出した切符代の小銭を彼の手で軽く押し返された。


『・・・・・・・・・』

「・・すまない。手、触ったりして。」

『・・・・い、いえ。そんな!!!!大丈夫です!!!!!』


触られたことがイヤとかじゃないのに
むしろ、手が触れたことでドキドキしただけなのに
それを上手く伝えられない・・・・


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