ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「高島?」
『・・・・ハイ!!!!!!』
「本当にゴメン・・・・そろそろ発車してしまうから、急ぐか。」
『あっ、ハイ~!!!!!』
本当はちゃんと手が触れたことはイヤじゃなかったことを伝えなきゃいけないのに
時間がなかったせいで、返事をしたと同時に入江先生と走り始めた。
新人歓迎会の時、履き慣れないハイヒールを履いて電車に揺られて怪我したという教訓を活かして、今日はローヒールを履いているあたし。
入江先生と一緒に改札を通り、ホームに繋がる階段を駆け上がり、発車間際の電車に飛び乗った。
『はぁはぁハア・・・・・』
「・・ふ~」
息を切らしながら、脱力するあたしの隣で入江先生も大きく息をついている。
車掌さんの “危ないですから発車間際の駆け込み乗車はおやめ下さい” の車内放送で、
他の乗客達の視線が集まってしまったあたし達はほぼ同じタイミングで息を呑んだ。
そして、すぐさま人目を避けるように二人揃って並んだ状態でドアの窓ガラスのほうに向いた。
「なんとか間に合ったな。怒られたけど。」
『お腹いっぱいな状態で走ったの、久しぶりです~』
「今日の店、美味かった。」
『入江先生、和食、スキそうですもんね。』
「ああ・・・海老しんじょ、美味かったな。」
『ホントです。海老がぷりぷりしてましたね~。』
時間がなく思いっきり走ったせいで、さっきまでの変なドキドキが吹っ飛んだのか
今日初めて、いつものように自然に言葉を交わした入江先生とあたし。
ドアの窓ガラスにはスーツ姿の入江先生とあたしが映っていて。
改めて、今、この時間、入江先生とふたりきりなんだと実感した。
でも今後は入江先生とふたりで電車に乗るとか
こんな機会はもうない
今日のあたしは
入江先生との最後の機会ばかりをカウントしてばかりで
時間ばかりがただただ過ぎていくだけだ
そんなことを考えていたから、あたしは前回の教訓を活かし切れていなかった。
『キャッ!!!!!!』
「高島!」
新人歓迎会の時に八嶋クンと乗った同じ路線の電車で大きく曲がるカーブがあることも。
そのカーブで足を捻ったのにそれをすっかり忘れていたことも。
『あっ!!!!!! あの・・すみません!!!!! あたし・・・・』
持っていた鞄はストンと音を立てて電車の床に落ちてしまっていたのに。
あたしの体は入江先生の腕の中にすっぽり包まれていた。