ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
スーツを着ている彼
そのスーツは決して柔らかい素材ではないのに
あたしが感じるのはやわらかいものにくるまれている感覚
ドキドキしながらも
離れたくない
そんな不思議な感覚
八嶋クンと似たようなことになって
“学校外でも教師という立場をわきまえた行動を。” と
教頭にお灸をすえられたのに
それなのに、あたし・・
「足、大丈夫だったか?・・・ちゃんと立てるか?」
そう言いながら、私を包む入江先生の腕は緩むことはなくて。
『・・・大丈夫・・・です。』
そう返事をすると、少し腕の力が緩んだ。
その瞬間、咄嗟に掴んでしまった。
入江先生のスーツを。
離れなきゃいけないって頭ではわかっているのに
「・・・・高島?」
『・・・・・・・・・』
あたしの手は正直だった。
「本当に大丈夫か?」
『あっ!!!! 本当に大丈夫です。ほらっ、しっかり立てますし。』
心配そうに声をかけてくれた入江先生。
これ以上、彼に心配をかけてはいけないと悟ったあたしは
掴んでいた彼のスーツを離し、彼の腕の中からするりと抜け出して、手放しで立ってみせた。
「大丈夫そう・・だな。」
『ええ。今日はローヒール履いて来ましたから。この前はハイヒールで怪我しちゃったから。』
「・・・そうか。」
余程あたしのことが心配だったのか
入江先生の表情が曇っているように見える。
『すみません、ご心配かけるようなことになって。助けて頂いて、怪我せずにすみました。』
「・・・いや、いいんだ。怪我、なくてよかったよ。」
言葉では安心したようなことを言ってくれているのに
入江先生の表情はまだ曇ったまま。