ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方


「今朝の・・」

『偶然通りかかって、見ちゃいました。』

「そうか。」


一瞬、驚いた入江先生だったが
すぐさまいつもの彼らしい淡々とした返事をした。


『でも、あたしには関係ない。』

「そうか・・」


こぼれてしまった本音 
のち
強がった建前


腕時計を外さないでと言っておきながら
あたしには関係ないなんて
矛盾してると思われてるだろう


矛盾してるって、指摘してくれれば
自分で自分を茶化して終われるのに

こんな時に入江先生は
ダメ出しをしてくれない


淡々としている “そうか” の返事に
寂しさまでもを覚えてしまって
いつまでも自分の想いをふっきれないままだ



嫉妬心を抱いたり
寂しいと思ったり
こういう気持ちは
いつになったら
消えてくれるんだろう?


「時間薬って本当にあるのかなぁ?」


失恋につける薬は
ただ時が過ぎるのを待つしかないのだろうか?


あたしは先が見えない恋を続けている自分が
情けなくて
悔しくて
痛々しかった。



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