お助け部ッ☆



なんていうか、城。


そうしか言いようがない。




オレンジブラウンを基調としたレンガ作りの外観。


ってかもうこれ、シンデレラ城じゃないの?色、塗り替えた?


みたいな。




「すご…」




開いた口が塞がらないとはこのことだろな。




「なんか…」




兄貴がポツリと呟いた。




「周りとの協調性、ゼロだな」

「あ、あはは…」




兄貴の言葉に、莉央さんの口から乾いた笑いがこぼれた。



確かに。一言で言えば、“浮いている”。



こんな外観なら、どっちかっていうと…森の奥深くにひっそりと佇んでいてほしい。


そんなかんじ。


そんな俺の想像を遥かに……遥か彼方に上回る場所に、偽シンデレラ城は建っていた。



……偽シンデレラ城は……………




「安いよー!おっ!そこの兄ちゃん達!カッコイイねー!大根、どう?1本オマケしちゃうよ!!」

「あ、ども…」




商店街のど真ん中にあった。



八百屋と魚屋に挟まれ、道路を挟んで向かいに肉屋がある。



うん、生活するには便利そうなんだけど。




「経営難だとか書いてたけど…場所が場所だよねぇ…」




莉央さんが言った。



……莉央さんは依頼状、読んだのか。




でも確かに、こんなところにこんなホテルがあったって、絶対に儲からない。



俺の知ってるホテル・舞姫は…有名な高級ホテルなはず……



その時、俺らの前に一台のクラシックカーが止まった。


高級感溢れるその車から、どこの貴婦人だよ、みたいな女と、紳士気取ってんじゃねぇ、みたいな男が出てきた。



そのまま偽シンデレラ城へ入っていった。



歴史ある商店街の、その部分だけが……レトロな西洋ってな雰囲気だった。




「場違いって、こういうことを言うんだろうね…」




俺の呟きに、2人はコクコク頷いた。




< 283 / 332 >

この作品をシェア

pagetop