お助け部ッ☆
なんていうか、城。
そうしか言いようがない。
オレンジブラウンを基調としたレンガ作りの外観。
ってかもうこれ、シンデレラ城じゃないの?色、塗り替えた?
みたいな。
「すご…」
開いた口が塞がらないとはこのことだろな。
「なんか…」
兄貴がポツリと呟いた。
「周りとの協調性、ゼロだな」
「あ、あはは…」
兄貴の言葉に、莉央さんの口から乾いた笑いがこぼれた。
確かに。一言で言えば、“浮いている”。
こんな外観なら、どっちかっていうと…森の奥深くにひっそりと佇んでいてほしい。
そんなかんじ。
そんな俺の想像を遥かに……遥か彼方に上回る場所に、偽シンデレラ城は建っていた。
……偽シンデレラ城は……………
「安いよー!おっ!そこの兄ちゃん達!カッコイイねー!大根、どう?1本オマケしちゃうよ!!」
「あ、ども…」
商店街のど真ん中にあった。
八百屋と魚屋に挟まれ、道路を挟んで向かいに肉屋がある。
うん、生活するには便利そうなんだけど。
「経営難だとか書いてたけど…場所が場所だよねぇ…」
莉央さんが言った。
……莉央さんは依頼状、読んだのか。
でも確かに、こんなところにこんなホテルがあったって、絶対に儲からない。
俺の知ってるホテル・舞姫は…有名な高級ホテルなはず……
その時、俺らの前に一台のクラシックカーが止まった。
高級感溢れるその車から、どこの貴婦人だよ、みたいな女と、紳士気取ってんじゃねぇ、みたいな男が出てきた。
そのまま偽シンデレラ城へ入っていった。
歴史ある商店街の、その部分だけが……レトロな西洋ってな雰囲気だった。
「場違いって、こういうことを言うんだろうね…」
俺の呟きに、2人はコクコク頷いた。