お助け部ッ☆
「あら?もしかして…お助け部の皆様ですか?」
そんな場違いのホテルから…黒いショートヘアの女が出てきた。
歳は…高3、ってとこかな。
「そうでーすっ♪あなたが麻実さんですかあ?」
莉央さんが人懐っこい笑顔を浮かべながら訊ねた。
「うわ、何この子!超可愛いんですけど」
……あの、さっきのお嬢様風な喋り方はどこへ?
ポカンとした顔をしてる俺たちに気づいたのか、女はコホンと咳払いをした。
「ごめんなさい、気を抜くと【素】が出るの。高3にもなって恥ずかしい…」
お、ビンゴだ。
「はい、私が麻実です」
そう言ってニコッと微笑みを見せた。
…わりと美人。
なんか莉央さんが、
“じゃああの手紙は気を抜きまくって書いたんだね”
って呟いてたけど、依頼状見てない俺にはさっぱりだった。
「あの…早速で悪いんだけど……モデ「あー!!」
莉央さんが麻実さんの言葉を遮って叫ぶ。
「どうしたんですか?」
「えっと、えーと…話は中で!立ち話もなんですから!」
「それ、お前のセリフじゃないだろ」
兄貴のツッコミも無視して、莉央さんは麻実さんの背中を押して偽シンデレラ城の中に入っていった。
「「………?」」
残された俺たちは、顔を見合わして首をかしげてた。
「アイツ、何かを隠してる」
兄貴が呟いた。
「何を?」
「さあ?でも依頼内容は…俺とお前にとっちゃあんまり微笑ましくないみたいみたいだけど」
それは……
「なんとなくわかってたよ。だって莉央さん、内容の話になると絶対言葉を濁すから」
さっきから、ずっと。
依頼内容の核心に触れない莉央さん。
明らかにおかしい。
このホテルの胡散臭さを見てると、なんとなく依頼である【イベント】とやらも胡散臭い気がして仕方がない。
様々な不安を抱えながら、俺と兄貴は偽シンデレラ城へと足を踏み入れた。