アンティーク
「お兄さんも、おじいちゃんと同じ綺麗な色の目だね。」

店長の孫であろうその子は、一旦お菓子を食べる手を止めて僕の瞳をじっと見つめている。

いくら子供でも、ここまで真っ直ぐと見られるとやはり恥ずかしくなってしまう。

「ありがとう」

僕がお礼を伝えると、再びお菓子を食べ始めた。

お菓子を頬張るほっぺには、その欠片が付いていて、それを、店長が優しくさっと払うと、女の子はふふふとくすぐったそうに笑う。

「今度、こっちに引っ越してくることになったの。だから、いつでも家に来ていいのよ。お父さんの部屋もちゃんとあるから」

「ありがとう。でも、わしはここがいいんじゃよ。おばあさんと住んでたここから、離れたくないんじゃ。それに、レオくんもいる。だけど、たまには遊びに行ってもいいかの」

「もちろんよ」

店長は、おばあさんのことを亡くなった今でも愛している、それがその言葉や言い方から凄く伝わってくる。

そんな店長の心に、僕は心が暖かくなり涙が出そうになった。

ふと、そういえば自己紹介がまだだったことを思い出し、俺は店長の家族のほうに向き直す。

これから先会う機会があるかどうか、そんなことは分からないが、誰かが言っていた一期一会という言葉を大切にしているつもりだ。

「今更ですが、工藤レオと申します。店長にはいつもお世話になってます」

店長の娘は、僕を見ると「よろしくね」と優しい声で言った。

「レオさんは、昔のお父さんに少し似てる。雰囲気っていうか、そんなのが。あっ、もう時間だわ。お父さん、また会いに来るわね。レオさん、これからもお父さんをよろしくね」

店長は、余ったお菓子を包んでりさちゃんに渡した。

りさちゃんは、そのお菓子を大事そうに受け取ると、名残惜しそうにバイバイと手を振る。

「レオお兄ちゃんもまたね」

「またね、りさちゃん」

2人が居なくなると、店長はいつものように作業場へと戻って行った。

どこか、嬉しそうな顔をして。
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