さよなら、片想い
「そういえば写真、飾ってないんですね」

「写真?」

「忘年会の。ホテルで撮ったやつ、注文してたじゃないですか」

「俺はしてない」

「してましたよ。私と写っているのに、名前書いてたじゃないですか!」

「意匠部でプリントしてアルバム回して、余ったなかから写っているのを貰ってたからチェックはしてなくて。……名前、書いてあった?」

 疲れを紛らわせようと振っただけなのに、話は思いがけない方向へ転がっていった。

「じゃああっちかも。俺じゃなくてもう一人のほう」

「誰」

「母。染料室の」

 染料容器洗いのアケミさん! 岸さんのお母さん!
 岸さんが私とツーショットの写真を欲しがってくれた、と舞い上がっていたら買ったの実はお母さんとか! ああああ!
 自分の勘違いぶりがなんとも恥ずかしい。顔が熱い。
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