キス時々恋心
こんな若いイケメンとお近づきになった覚えは無い。
どこかですれ違ったりしたのかもしれないが記憶に無くて、失礼を承知で「ごめんなさい」と頭を下げた。
「まぁ、俺が中学の頃に別れたっきりだし無理もないか……。頭を上げてよ、初音さん」
彼に促されて、初音はゆっくりと頭を上げる。
「俺、宮川 雪次郎。ガキの頃、初音さん家の近所に住んでいて、祭りの時とかよく世話になったんだけど」
「宮川……宮川――……」
右手を顎に添え、彼の名前を復唱しながら古い記憶を辿る。
しかし、そんな昔の事すぐには思い出せない。
しばらく考えていて、彼が「やっぱダメかぁ……」と半ば諦めかけた時だった。
初音の記憶にズドンと雷が落ちたような衝撃が走る。