夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
そのあとはひたすらダンボール箱の荷解きをしてゴミをまとめ、掃除をして私だけのお城はなんとかきれいな状態になったのはいいけれど。なにかが足りない。
そのなにかは心の中にぽっかり開いた大きな穴。他のなにかで埋めようとしても埋まらなかった。
シャワーを浴びてベッドに入って目を閉じてみても、浮かんでくるのはふたりの姿。
「あー、もう!」
これじゃあ私が新さんを好きみたいじゃないか。眠れないほどモヤモヤして昼間からずっと引きずっているなんて、私らしくない。
「寝よ寝よ」
寝れば忘れられる。思いの外身体は疲れていたので、すんなりと眠りに就けた。
朝目が覚めてリビングに顔を出したがシーンとしていて人の気配はない。当然だ、新さんは病院にいるんだから。
おそらく今日の夜には帰ってくるだろうけれど、なぜだろうひとりの時間がとてつもなく寂しく思えるのは。
広い部屋にひとりでいるせい?
この二日ずっと新さんと一緒にいて、久しぶりにひとりの朝を迎えたから?
なにかを吹っ切るように頭を振る。そして昨日の残りの米でおにぎりを握った。どうして私、彼の分まで……。簡単なタッパに詰めて、だし巻き卵も作ったりなんかしちゃって。