夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
帰り際、夜道を歩いているとふと後ろから肩を叩かれた。
「よっ!」
「進!」
仕事帰りのスーツ姿の進が片手をあげて微笑む。きっちりネクタイを締めて、夜なのに疲れの色がいっさい見えず爽やかだ。
「昨日電話で様子が変だったから、やっぱり心配でさ」
「さすが進だ」
なんだかんだ言っても、やっぱり私の味方でいてくれるのね。
「なにかあったのか?」
「まぁ、ちょっとね。でも、もう大丈夫だから。ごめんね。わざわざきてくれてありがとう」
「いや、それはいいんだけどさ。なにかあるなら、遠慮なく言えよ。これから行くとこがあるから、俺はこれで。じゃあな」
「ありがとう!」
お礼を言って進の背中が見えなくなるまで大きく手を振った。さて、私も帰るとするか。
いつもとちがう帰り道にはまだ慣れない。とにかく買い物をして帰らなくては。マンションの近くのスーパーは、どこになにがあるのかまだ把握できていないので思いの外時間がかかった。
調味料を買い揃えていたら荷物も両手にズッシリだ。
「ああ、重い」
張り切ってこんなに買うんじゃなかった。でも、あれもこれもついほしくなっちゃうんだよね。
昨日のカレーは失敗したので夕食に出せるはずもなく、今日は唐揚げの予定だ。