どうも、弟です。

「…でも、お前の心はもう、秋だから……秋しか見えてねえから……」

「……っ」


雪くんの、切ない表情と悲しげな声で、なんだかこっちまで苦しくなる。


「ごめん、自分でもコントロールできなくて、泣かせてごめん。素直になるとかやっぱまだその…恥ずかしいし、またたぶん一花を泣かせることもあるかもしれない」

「……雪くん…」

「初めてなんだ」

「え……?」


自分の髪をつかんでいた手を伸ばしてきて、今度は私の頬に優しく触れた。

雪くんも、緊張しているのがすごく伝わってくる。


だってこんなに、熱を持っているから。


「誰かのことで、こんなに一杯一杯になったり、焦ったり、嬉しくなったり、しんどくなったりするの……初めてなんだ」

「……っ」


名前の通り、まるで雪みたいに白い肌が、今はこんなに真っ赤になって

今にも泣き出してしまいそうなくらいに、苦しそうな顔で

言葉は落ち着いていても、私にはまるで叫んでいるみたいに聞こえる。


痛いくらい、気持ちが伝わってくる。


雪くんも、戸惑ってたんだね……。



< 149 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop