愛は惜しみなく与う③

「…杏と話させてくれ」


朔と響は、おい、杏か?と近寄って来たが、そばに寄るのを手で制する。


『何度も言いますが、あなたが今すぐ手を引いて帰るなら、彼女に手荒なことはしません。まぁすでに手は出し掛けてますが、止めます。

でも、もし帰らないのであれば…

このまま彼女の身も心も、ボロボロにする予定です。こっちにも計画があるんでね。そろそろ彼女に執着してる男を解放してやりたいんですよ』


あまり時間はないのです。そう付け足した


解放してやらないのは、お前らだろ。


「わかったから、杏にかわれ」


もう俺は決めてるから
杏に出会った日から……心に決めてるから



『い、泉…』

「杏?まだ大丈夫か?」


少し枯れた杏の声が聞こえた
今すぐ抱きしめて大丈夫だよって言ってやりたい



『あんな?あたし大丈夫やから、みんな連れて帰ってほしい。ごめん…巻き込んで。我儘言ってごめん。もう……守らなくていいから』



だから、笑って電話を切ってくれと



杏は言った



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