冷徹社長の初恋
「絲の説明を聞いて、見学の順番やコース、社員にどう言う趣旨の話をして欲しいのかをまとめてみた。もちろん、社員には決められたことを話させるのではない。子ども達がこの後どんな学習をするのかを認識させる必要を感じた。そうすれば、自ずと話すべきことが明確になると思う」

春日さんの説明を聞きながら、プリントをじっくり読んだ。そこからは、春日さんがこのことを、どれだけ考えてくれたかが伝わってきた。
利益に直結することでもないのに、ここまでしてくれることに嬉しく思った。

「春日さん、すごいです。ここまで考えてくださるなんて、私の想像を超えてました。私が口出すことなんて、ないぐらいです。
でも、それでは呼んでいただいた意味がないので、あえて言うならぐらいで申し訳ないのですが、思ったことを言わせてください」

「ああ、ぜひ聞かせてくれ」

「見学の内容や、質疑応答に関しては言うことなしです。私が唯一思ったことは、どうすればこういう職種に就けるのか、どうしてこの仕事をしようと思ったのかを語って欲しいということです。もしかすると、社会科の枠を超えることかもしれませんが、せっかく現場の生の声を直に聞けるんですから。子ども達にとっても、すごく価値のあることだと思います」

春日さんの提案の素晴らしさに、私も思いが昂って、おもわず前のめりで長々と語ってしまった。でも、まだ治らなくて、続けてしまう。

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