冷徹社長の初恋
剛さんをソファーに促して、コーヒーを入れる。

「自由にさせてもらうから、絲はいつも通りにしてくれ」

とりあえず、お米を炊飯器にセットしながら、調理の順番を考える。
集中して用意を進めていると、剛さんがいつの間にか近づいてきていて、私が料理する様子を見ていた。

「ずいぶん手際がいいんだな。慣れているのがよくわかる」

「一応、一人暮らしが長いので、一通りのことはできますよ」

剛さんは、私のすることを一つも逃さないというように、最後までじっと見ていた。


「さあ、できましたよ」

「ああ。ありがとう」

剛さんは手を合わせると、早速肉じゃがに手を伸ばした。
私はそれを、息を止めて見つめていた。

「うん。うまいな。絲、さすがだな」

剛さんの言葉に安心して、止めていた息を吐き出す。

「よかったあ、お口に合ったようで」

「どれもうまいぞ。本当に毎日食べたいぐらいだ」

そう言って、用意したおかずを次々と食べてくれた。

全て空にして手を合わせると、剛さんはまた優しい笑みを私に向けた。

「絲と結婚したら、こんなにうまい料理を食べられるんだなあ」

胸がドキンと跳ねた。
剛さんには、私と暮らす未来がしっかり見えているようで、幸せな気持ちになる。


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