冷徹社長の初恋
ご飯を食べ終えて一休みした後、順番にお風呂に入った。私が出ると、先にお風呂を終えていた剛さんは、ソファーでビールを飲んでいた。

「絲も飲むか?」

頷いて近づくと、剛さんは私を横に座らせて、グラスにビールを注いでくれた。

「絲。今日一日で、俺はずいぶん突っ走ってしまったな。絲が俺を受け入れてくれたと思ったら、歯止めが効かなくてな」

剛さんが静かに語る様を、私は目を見つめて聞いていた。

「ふと我に返った時、絲は早まったことをしたと思うかもしれない」

「そんなこと……」

「絲、聞いてくれ」

私が話すのを制して、剛さんが静かに続けた。

「俺の気持ちは、この先ずっと変わらないだろう。ただ、俺にも人に気持ちまではわからない。もしかすると絲は今、気持ちが高揚して俺のプロポーズを受け入れたのかもしれない。その気持ちが落ち着いた時、出会って間もない年上男と、気安く結婚の約束をしてしまったと、迷いが生じるかもしれない」

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